家族が認知症かも…と思ったときの対応法〜不安を抱え込まず、できることから始めよう〜

介護知識

「最近、母の物忘れがひどくなった気がする…」

「父が何度も同じ話をするようになって心配…」

こうした変化に気づいたとき、家族としては戸惑いと不安を感じるものです。

「もしかして認知症かも?」と思ったとき、何から始めたらいいのか分からず、一人で悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。

今回は、介護現場の経験をもとに、認知症かもしれないと感じたときの適切な対応の流れや注意点を、わかりやすく解説します。

一歩ずつ、できることから始めてみましょう。

認知症のサインに気づくきっかけとは?

認知症は「ある日突然始まる」ものではなく、少しずつ、しかし確実に進行していく病気です。

次のような変化が見られたときは、注意深く見守りましょう。

よく見られる初期のサイン

  • 何度も同じ話を繰り返すようになった
  • 日付や時間の感覚が曖昧になる
  • 財布や鍵などの物をよく失くすようになった
  • 約束を忘れる、予定を覚えていない
  • 慣れていた場所で道に迷う
  • 家事や計算など、以前できていたことが難しくなる
  • 気力がなくなり、無気力に見える

これらの症状が**「加齢によるもの忘れ」と「認知症による症状」**のどちらかを見極めるには、少し慎重に観察する必要があります。

まず家族がすべきこと|焦らず、責めず、観察を

「もしかして…」と思った時、すぐに医療機関に連れて行くよりも先に、家族としてできることがあります。

1. 感情的に否定・叱責しない

本人は自分の変化に気づいていないか、気づいていても認めたくないことが多いものです。

「なんでそんなことも忘れるの!」と責めてしまうと、混乱や不安が強まり、関係性が悪化することもあります。

まずは気持ちに寄り添い、穏やかに接することが第一歩です。

2. できるだけ記録をとる

日常の中で気になる言動があれば、日付・内容・頻度を簡単にメモしておきましょう。

後に医師やケアマネジャーへ説明するときに大きな助けになります。

3. 生活環境の安全確認

もの忘れが増えてきた段階では、火の不始末・薬の飲み間違い・外出時の迷子などのリスクが高まります。

ガスの自動消火器の設置、薬の管理、玄関の見守り対策など、少しずつ対策を講じていきましょう。

受診のすすめ|何科に行けばいいの?

認知症の可能性がある場合、できるだけ早めに専門機関に相談することが大切です。

■ まずは「かかりつけ医」へ

本人が抵抗感を持たないよう、「健康診断のついで」「最近元気ないから心配で」と自然な理由で受診を勧めるのがポイント。

かかりつけ医が判断し、必要があれば専門医(神経内科、老年内科、精神科など)へ紹介してくれます。

■ 認知症の診断で行われること

  • MMSE(認知機能テスト)
  • MRIやCTなどの脳画像検査
  • 血液検査(他の病気が原因かの除外)

認知症にはアルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型など種類があり、それぞれ対応が異なります。

早期発見により、進行を遅らせるための治療や支援が可能になります。

認知症と診断されたら…利用できる支援制度

認知症と診断された後は、本人と家族が孤立しないために公的支援を活用することが大切です。

◎ 介護保険サービスの申請

認知症で日常生活に支障がある場合、介護保険の「要介護認定」を受けることができます。

申請は市町村の介護保険窓口または地域包括支援センターで行います。

認定後は、ケアマネジャーがつき、状況に応じて以下のような支援が受けられます。

  • デイサービス(通所介護)
  • 訪問介護
  • 訪問看護
  • 認知症対応型デイサービス
  • 小規模多機能型居宅介護 など

◎ 地域包括支援センターに相談

お住まいの地域にある「地域包括支援センター」は、介護・医療・福祉の相談窓口です。

認知症かどうかの判断がつかない段階でも相談可能。どんな小さなことでも、一度相談してみましょう。

家族が大切にすべき3つの視点

1. 認知症=すぐに何もできなくなるわけではない

診断されたからといって、すべてのことができなくなるわけではありません。

できることは尊重し、できないことは少しずつ手助けするという姿勢が大切です。

2. 家族だけで抱え込まない

認知症介護は、長期戦になることが多く、一人で抱えると心が折れてしまうこともあります。

介護保険サービス、地域の支援、家族会などを活用しながら、周囲とつながっていきましょう。

3. 本人の「尊厳」と「安心感」を守ること

認知症の方は、できる・できないにかかわらず、自分らしく生きることを求めています。

怒らず、否定せず、「あなたは大丈夫だよ」と伝えてあげることが、何よりの支えになります。

まとめ|早めの気づきと対応が、家族も本人も守る

認知症は、決して「終わり」ではなく、「これからどう支えていくか」のスタートです。

「もしかして?」と感じたときは、

  1. 否定せず見守る
  2. 気になる行動を記録する
  3. 医療機関や地域の支援につなげる

というステップを意識して行動してみてください。

大切なのは、家族の心配や不安を一人で抱え込まず、支えてくれる仕組みに頼ることです。

必要なサポートを受けながら、本人の生活を守り、家族も安心して過ごせる道を一緒に探していきましょう。

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